2013年3月22日12:19 PM

広報は、時間に敏感であることが求められる仕事である。時間感覚というかセンスというか(横文字になおしただけか)。

わたしは広報に必要な時間感覚には2種類あると考えている。ひとつは、文字通りの「時間」、つまり時間を守るとか時間に正確とか、ふつうの社会生活の中でも必要とされる時間感覚である。

たとえば、ずいぶん前に「記者発表会は時間通りにはじめよう」でも書いたけれど、記者発表会は案内状で予告した時刻にはじめなければならない。たとえ集まりが悪くても、時間通りに来ていただいた記者の方々がいるのだから、ジタバタせずに始める。約束は守る。

そして、案内した時間内に終えなければならない。発表内容にもよるが、通常の新製品発表であれば長くても1時間以内にまとめたい。この時間管理は思い通りにいかないこともある。いくら準備で徹底しても、本番で説明者が設定した時間通りに話してくれるとは限らないからである。わたしも外資系企業の広報時代、海の向こうからやってきた要人がペラペラペーラと気持ちよくしゃべりすぎて、司会席で(心の中で)頭を抱えたことがある。すみませんでした。

取材を受けるときの時間感覚も大切である。まず、報道機関には締め切りというものがあるということを絶対に忘れない。取材申し込みを受けたら、スケジュールを必ず確認する。取材を受ける場合は、いつまでに取材を組めばいいのか、そのまえに、いつまでに取材可否の返事をすればいいのか。長い返事の保留は迷惑をかけてしまう。

もうひとつの時間感覚は、「時間軸」という時間のとらえ方だ。現在・過去・未来 ♪ という時間の経過、時間の流れである。

広報の仕事では、つねに「全体の中での位置づけ」というものの見方が有効である。自社を語るときは業界でのポジションを意識する必要があるし、新製品を発売するときは自社製品群の中のポジショニングも大切である。

同じように、時間軸の中での位置づけ、つまり現時点の企業の姿を切り取るだけでなく歴史観をふまえたものの見方が必要になってくる。点ではなく線でとらえるということだ。企業の歴史はその企業の独自性を伝えるのに欠かすことのできない要素であるし、事業の展望は企業への期待感を醸成する。報道機関向けの説明や発表を行うときは、少しでも時間軸を意識することで理解されやすくなる。

広報にはつねに時間を意識した行動が求められるんです。

ところで、昨年、メディアリレーションの講座で講師をしたときに、120分枠の講義を90分の話と30分の質疑応答の内容で準備したのに、実際は話だけで120分をちょっとオーバーしてしまった。自分のことになると、まるっきりからっきしのだめだめである。

先週の講座ではこの結果をふまえて、6つあったテーマをひとつ減らし、残した内容もぜい肉をそぎ落として万全の準備で望んだけど、結果はまたもや120分フルフルコース。

時間管理はむずかしい。反省しきりです。

 

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