Archive for 5月, 2011

以前、60年代から70年代にかけてVANヂャケットの企画の仕事をしていた方からおはなしを聞く機会があった。たのしくお酒を飲みながら、「VANの社員は洋服を販売するときにストーリーもいっしょに売ったんだよ」と語ってくれた。実際にVANの全盛時代に働いていた人のリアルなはなしを聞いて、とても感激した。

ただそこにある服を売ろうとするのではなく、お客さんとの会話を通して、女の子とデートをする、だとか、ともだちの結婚式に出席する、だとか、時と場合による具体的なシーンを想定してコーディネートを提案する。それはVANの社員みんなに浸透していて、たとえば小物の企画を担当していても、ジャケットやシャツなど他の商品の素材やディテール、すべてを勉強したという。

広報の仕事もストーリーが大事だと考えています。

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また一冊、広報の本を読んでみた。今回は外国の本の翻訳で「新しいPRの教科書」です。

この本によると、世界最初のプレスリリースは1906年10月28日、のちにPRの父とよばれるアイビー・リーという米国の実業家が、ペンシルバニア鉄道の列車事故を公表するために発行したものだという。このプレスリリースで、ペンシルバニア鉄道は事故を正直に公表したとして評価されたんだそうだ。はじめて知りました。

このようにプレスリリースを生んだ米国ですが、本書の著者は、「華美な言葉や意味のない情報(紋切り型の表現やスペースばかりとる無意味な言葉)は増える一方だ」と認め、新しい「プレスリリースの書き方ガイド」なるものを作成している。

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ここ数年で広報に関する書籍がたくさん出版されるようになった。大きな書店では、ビジネス本の書棚にマーケティングや広告とならんで独立した広報のコーナーができている。広報という仕事が世間に認められるようになったあかしであるならば、とてもうれしい。

最近このての本を好んで読むことはなかったのだけれど、企業広報ブックという6冊シリーズの広報の教科書のようなものが発売されたので、読んでみようと思って買ってみた。6冊のうちの「広報の基本」と「メディア・リレーションズ」を買った。

なにげなくぱらぱらっと「メディア・リレーションズ」のほうをめくってみると、「リークについて」という項があった。ちょっといやな予感がした。

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RCサクセションの「COVERS」をCDラックからひっぱりだして聴いている。反原発をうたった「ラヴ・ミー・テンダー」と「サマータイム・ブルース」などが収録されている1988年のアルバムである。発売中止さわぎからもう23年もたったんですね。

福島第一原発の事故もあって、この曲がラジオでたくさんリクエストされているという。「ラヴ・ミー・テンダー」は「何 言ってんだー」である。ワンダフルな訳詞である (ほかにキヨシローのかえうたでは、ビートルズの「HELP!」の「HELP! あ、兄さん、ばあさん」がすきである)。

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連休前半を利用して高杉良著「広報室沈黙す」(講談社文庫)を再読した。

本書は、大手損保「世紀火災」の新任広報課長木戸徹太郎が、会社とメディア・社会の狭間で悩みながら気骨をもって立ち向かう経済小説である。1984年の作品で状況設定が少し古いですが、広報の仕事をしている人であれば、経営陣や記者とのやりとりを通じて主人公にストレートに感情移入できておもしろく読めると思う。

さて、この物語の前半で、木戸が記者クラブで知り合ったE新聞島村記者に、広報のことならこの人に聞けと紹介された「広報の権化」、日本モーターズ江藤東京広報部長を訪ねるシーンがある。

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