2011年8月31日5:28 PM

個人的な話ですみませんが、カレーチェーンのCoCo壱番屋(通称:ココイチ)のカレーが好きである。だいたい週一ココイチである。先日お昼時をはずして午後1時すぎにいつもの野菜カレーを食べていて、ふとまわりをみまわすと、わたし以外のお客が全員インド人ではないですか!あーびっくりした。

目黒は実は国際色豊かな街で、特に東南アジア系の人が多い。レストランもタイ料理、インドネシア料理などエスニックが豊富で、もちろんインド料理店もいくつかあるし、有名な店もある。それなのにあえてココイチである。両親の住む高松でいりこだしのコシのある讃岐うどんを食べ慣れたわたしが、東京のそばやで濃いかつおだしのやわらかいうどんも食べたくなるのと同じようなものなのか、どうなのか。

以前、仕事でサンフランシスコによく出かけた時期があり、当地の吉野家にいる感覚を思い出した。記憶があいまいですが、たしか昔ファイナンシャルディストリクトのあたりに吉野家があったと思う。外国人に囲まれて牛丼を食べるのは最初は妙な感じがした。すぐに慣れたんですけど。

ところでなぜ頻繁にサンフランシスコに行っていたかというと、米国企業の日本法人広報として日本のメディアの方たちを本社やイベントに招待して取材してもらったり、業界アナリストの方たちにアナリスト会議に参加してもらったりして、そこに同行していたのである。

国内なら企業活動のリアルな場、すなわち本社や支店、工場、研究所などを見せることはそれほど難しくない。外資系企業の場合は、日本法人における広報活動だけでは企業活動全体を伝えるのには限界がでてくる。そこで、海外の本社が大掛かりな発表をするときや大々的なイベントを催すときなどを利用して、日本のメディアやアナリストに本社の重役の話を聞いてもらったり、製品の生産現場を実際に見学してもらったりして、直接メッセージを伝えようというのである。

いわずもがな、企業側としてはこの取材旅行で記事を(たくさん)書いてもらうことが最大の目的であるわけだが、ほかにも大きな効能がある。本社の経営陣の話や製品・アイデアが生み出される現場の取材を通じて記者の理解が深まり親近感を持ってもらえれば、今後の広報活動を有利に展開できる。記者の理解度が高い企業のほうがニュースになる確率は当然高まるだろう。

また、数日間は行動をともにすることになるので、記者各人の関心事やニーズを把握するチャンスでもある。相手を理解しての広報活動である。普段はお互い忙しくてじっくり話す時間が少なくても、こういう場合はいっしょに食事をする機会も格段に作りやすい。海外でのことには限らないが、食事をすると快楽的な脳内物質であるベータエンドルフィンが分泌されて気分がよくなる。酒はさらにリラックスした気分にさせる。人間同士のつきあいを深めることができる。

もちろん、参加してくれるメディアの方々に興味を持たせる環境づくりができていなければ、これらの効能はまったく得られないし、逆効果になってしまうことさえある。ニュースになりうる素材を少なくとも一日ひとつ以上用意することが必要だろう。重役のインタビューならCEOかそれに準ずるポジションの人物、それ以外でも魅力的な話ができる(記者が聞きたがっているであろう話ができる)人物をセットしなければならない。

さて、このようなプレスツアーを実施するときのコツをひとつあげるとすれば、スケジュールをギチギチに詰めないことである。はりきって一日中拘束するようなプランをたててはいけない。海外本社広報の方針にも左右されてしまうのはつらいところだが、わたしもかつて朝から夕方までのスケジュールが2日も3日も続く経験をした。はっきりいって不評だった。それに自分も疲れ果てた。記者が「ついでにライバル企業も取材してこようっと」と抜け出せるくらいの余裕がほしいところだ。実際に自社以外を取材してもよいではないか。ケチケチしないで。それによって、その業界やその分野の見聞を広めてもらえば、まわりまわって自社にも必ずいいことがあるとわたしは考える。

わたし自身、駆け出しのころからプレスツアーを通じて記者・編集者の方に大いに鍛えてもらった。ひとつ、たいして鍛えられなかったのは英語力であります、悲しいかな。

 

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