2011年5月23日6:24 PM

また一冊、広報の本を読んでみた。今回は外国の本の翻訳で「新しいPRの教科書」です。

この本によると、世界最初のプレスリリースは1906年10月28日、のちにPRの父とよばれるアイビー・リーという米国の実業家が、ペンシルバニア鉄道の列車事故を公表するために発行したものだという。このプレスリリースで、ペンシルバニア鉄道は事故を正直に公表したとして評価されたんだそうだ。はじめて知りました。

このようにプレスリリースを生んだ米国ですが、本書の著者は、「華美な言葉や意味のない情報(紋切り型の表現やスペースばかりとる無意味な言葉)は増える一方だ」と認め、新しい「プレスリリースの書き方ガイド」なるものを作成している。

そのなかの「プレスリリース作成時の注意点」をそのまま以下に引用してみよう。

「情報の繰り返しは避けたほうがよい。意味のない語句も使わない(掲載が有料のメディアもある。不要な語句のために余分な料金を払うことはない)。PR対象の企業について具体的なイメージがわく情報(マーケットシェアや市場での地位など)は必ず入れる。また、ライバル社との違いがわかる情報(注目に値する事実、マーケットシェア、会社の歴史など)、さらには記事の内容を補足する情報も提供する。
マスメディアやソーシャルメディアの媒体やインフルエンサーが連絡をとりやすいよう、自身の連絡先情報についてもしっかり明記する。」

ほぼ、わたしたちが繰り返し学んできたプレスリリースの書き方の基本そのものである。ジャパニーズスタンダードである。

この本の著者が、プレスリリースの書き方ガイドのプレスリリース (ややこしいです) を出したのが2007年というけれど、残念ながら米国企業にまだ浸透していないようである。世界初のプレスリリースから100余年、いっこくもはやく、と願っている。

ところで、この本は全体的にはソーシャルメディアの活用に重点がおいてある内容です。米国では2009年に出版された本なので、日々進化するソーシャルメディアについての内容が翻訳されるタイミングとしては、ちょっと遅いのかもしれないなという印象を受けました。

 

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