2012年5月25日3:18 PM

どこでもオフィス生活をはじめて半年が過ぎようとしている。自宅、レンタルオフィス、お客さま先、ときどきサンマルクカフェを仕事場とする毎日は、これまで引っ越し20回、一定の場所に居つくことのない生活を送ってきた自分に合っているようです。

特に日比谷図書文化館という快適な仕事場をみつけてからは、毎日の行動のリズムがとてもよくなった。なんといっても日比谷図書文化館は東京のまんなかにある。緑豊かな日比谷公園の中にある。霞ヶ関も近い。官公庁の仕事がいつ来てもすばやく対応できる(なーんて)。ここをハブにすれば、東西南北どこにでも行きやすい。

その4階にある特別研究席は、日比谷図書文化館ホームページによると「博覧強記な先人の執務スタイルが体感できる“実務家の書斎”」。ちょっと大仰であかぬけないキャッチフレーズのこの施設を仕事場にしている。それにしても、博覧強記って言葉ははじめて知った!博覧強記にはほど遠いけれど、堂々と利用させてもらっている。立派な机と椅子に無線LANつきのブース席を2時間300円で利用できます。

2階におりれば、広報・PRの仕事になくてはならない新聞や雑誌が読み放題である。たとえば、新聞は全国紙と業界紙が約30紙ある。日刊水産経済新聞や日本食糧新聞もある (いまのところ仕事に必要はないけれど)。雑誌は約600誌。こんなに各種媒体のそろったオフィスははじめてだ。貸会議室は記者会見にも使える。このまえ、石鹸アレルギー被害の弁護団の記者会見やってて、テレビカメラもいっぱい入ってましたし。

事務所を持つのをやめたおかげで、仕事の持ち物は必要なものだけにしぼった。本当に必要なものだけ所有して、そのほかは必要に応じて調達する。家族4人が住むのにギリギリの都会生活で、仕事の荷物まで持ち込んだら寝床がなくなる。ついでに家にあった古い洋服なども処分して身軽になる。あっという間に大きめのごみ袋が10個くらいになった。事務所に置いてあったアナログレコードだけは、家のせまいリビングで大きな顔してますけれど。

不要なものはできるかぎり取り去って必要なもののみを際立たせる、というのは広報・PRの鉄則である。発信したい情報素材の本質にとことん向き合って、余計なものは徹底的にそぎ落とす。

プレスリリースを書くことでいえば、ニュース素材はなにかを明確にした上で、せっかくならあれもこれもという誘惑を勇気をもって断ち切ってシンプル化することによって、訴求ポイントをはっきりさせることができる。読んでもらえるプレスリリース作成の基本である。

記者発表会のシナリオ作りも考えかたはおなじ。一回の発表会でニュースの素材は原則ひとつ。きょうの発表は何なのか、最初にはっきりさせる。この軸を補完してくれる事象以外の余計なことは説明になるべく入れない。聞いてもらえる記者発表会の基本である。

人と人とのコミュニケーションでも、周辺情報や蛇足が増えれば増えるほどイイタイコトがどんどん伝わりにくくなる。それは仕事の場面であろうが、家庭の会話であろうが、おんなじである。

キヨシローは「瀕死の双六問屋」(新人物往来社刊)で「本当に必要なものだけが荷物だ」と言った。カッコEぜ。この名言はコミュニケーションの真髄でもあるな、と思わないわけにはいかないのでした。

 

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