2013年8月26日4:26 PM

フランスの高級宝飾品ブランドの店長を務める友人が言っていました。

数百万もする腕時計やアクセサリーは究極に言えばいらないものであり、そうゆうものを販売するときに商品のことを一所懸命説明すると、高価ないらないものがもっといらないものに聞こえてくる。トップ営業マンは販売の際、大丈夫かなと思うくらい商品の話をしていない。

とても興味深い話でした。広報のしごとにも近いことがいえます。

初めてコンタクトした記者や編集者と、首尾よくアポが取れたとする。広報としては勇んでたずねていくのだけれど、どうしても気負ってしまう。忙しい中時間をもらっているというのもあり、自分の会社や商品の説明だけでせいいっぱいということになる。

もちろん、それでもいいんですが、せっかくの機会なので、森を見せて木を見せるような説明ができると説得力が高まる。ふだんの会話でも相手に自分の話ばかり一方的にされるとつらいもの。自社の話を少しだけ控えめにして、業界全体図を見せながら、自分の会社の立ち位置を説明する。

よほどの大企業でない限り、一社だけの話題が記事として取り上げられる可能性はとても低い。記者はつねに、社会や業界という大きな視点で、物事をとらえようとする。自社や商品をアピールするより先に、会社が狙おうとしている領域の将来性や価値を説くほうが、記者に興味を持ってもらう近道になる。

広報は、自分の所属する会社や商品・サービスのことを客観的にとらえる習慣を身につける必要がある。いつも頭の中に俯瞰図を描くのであります。

 

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