2012年11月8日1:26 PM

中学3年生の国語で、記者会見のスタイルでスピーチして、質問に答えながら言いたいことを伝えようという授業があるらしい。光村図書の教科書で、「自分の魅力を伝えよう ― 記者会見型スピーチをする ―」という単元だ。

グループごとに会見者、司会役、記者役2~3人の配役とは、PR会社のメディアトレーニングさながらの本格派だ。会見内容はただの自己PRではなく、サッカー大会でゴールを決めた選手の「ヒーロー会見」やシェフの「新メニュー発表会見」といった具体的な発表テーマを決めて行うという。

このようなアクティブな授業は、自分が中学生のときには考えられなかった。最近は高校入試も面接があるし、すこし先では就職の面接なんかも視野に入っているのだろう。「限られた時間で自分の考えを相手にわかりやすく伝える」能力は、あらゆる仕事で大事ですから。

企業や組織の広報にとって、記者会見は真剣勝負の場である。忙しい記者・編集者に配慮すれば、なるべく短い時間で済ませなければならないし、最後まで聞かないと何の発表なのかわからないような説明の仕方は絶対に避けなければならない。ある企業の記者会見で、1時間半もかかった上、質疑応答で記者に開口一番、「で、今日は何の発表なのか」と問い詰められたという、しゃれにならない話も聞いたことがありますです。

かくいうわたくしも、新製品発表会やトップ会見などそれなりの数の記者会見を経験したけれど、何回やっても思い描いたとおりの完全な会見はできなかったし、終わった後はちゃんと伝わったか気が気ではなかった。あたりまえの話だが、うまくいったときもいかなかったときもある。悲喜交交。

記者会見では、今日は何の発表なのかをまず示し、記者が安心して聞ける態勢を整えてから、詳細の説明に入るのは最低限のマナーである。中学校の授業で記者会見型スピーチを教えるのも、一方的に話したいことだけ話すのではなく、聞く相手のことをちゃんと考えて話さないとコミュニケーションがとりづらいよ、ということを肌で感じとってもらいたいからだ。眠たい授業より楽しいかもしれない。

それにしても、広報の仕事を長くやっていると、「全容あるいは結論を示して詳細へ」が身体に染み付いてしまっている。これは問題である。家庭のたあいない会話もこの感覚で聞いてしまうのである。なかなか結論がでてこない、いいたいことがなかなかわからない家人の話に、ちょっとイライラしたり、話の先を急がせてみたり (そうなりがちじゃないっすか笑)。普段の話は時間があるんだから、ゆったりおおらかに聞こうじゃありませんか。

反省してます、ハイ。

 

トラックバックURL