2012年3月29日12:33 PM

やっとあたたかくなってきました。先日はデザイナーの方と打ち合わせで天ぷらを食べました。たらのめなどの山菜が春を感じるには十分でした。

どちらかというと海側で過ごしてきたからかどうか知りませんが、結婚するまでたらのめを知りませんでした。結婚したころ(18年前!)義父の実家の青森から送られてきた山菜の中にたらのめがありました。それを義母が天ぷらにしてくれたのですが、やわらか歯ごたえがあってうまいもんだなと思いました。それ以来、たらのめがわたしの季語となっています。

春になると新しい出来事がたくさんあります。就職、転勤、転職、進級、進学(わたしの下の娘も中学生になります)などなど。季節がいいので、結婚式も多いかもしれません。

新しい出来事は、英語にすると news です。これらの出来事は個人個人にとって、まごうかたなきニュースです。

一方で企業などの広報活動では、自社が新しい製品やサービスを発売するときなど、新しい出来事にちがいはないのですが、これらを「ニュース」と考えないことが広報人の基本的なスタンスではないかと思います。逆説的ですけれど。

たとえば、広報活動の基本ツールともいえるニュースリリース(もしくはプレスリリース)。これは、企業の中で起きている出来事・事実を報道機関が利用できるように資料にまとめたものです。つまり、報道機関が記事を書くときに参照する「ニュースの素材」というのが本来的な役割です。

ですから広報人は、ニュースとは「報道する価値のある情報」であり、その価値は報道機関が判断するものと、きちんと理解して仕事に取り組む必要があります。ニュースリリースとして企業が発表する新しい事実は、その時点でいまだニュースではなく、「ニュースの素材」であります。企業の視点ではニュースととらえていても、世の中から見てどうか、メディアから見てどうか、ということを客観的に見極める力が広報には求められます。

たしかにニュースリリースは、いまや報道機関に向けた発表資料という意味合いだけでなくなっています。自社のホームページなどを通じて、顧客やパートナー企業などのさまざまな関係者が直接読んでもらう公式文書として重要な役割を果たしています。

しかし、客観的な視点で考えられ、華美な形容詞や誇張表現をできるだけ排除し、事実を正確に書いた文章は、顧客などの関係者にも好感をもたれ、読まれる資料となるのではないでしょうか。ニュースリリースは報道機関に向けた資料であるというオリジンを忘れないことが、顧客などへの直接のメッセージ訴求にも効果を発揮すると確信しています。

わたしが語ろうとすることは、どうしてもノウハウでなく心構えの話になってしまいがちですが、精神的な領域をきちんと整えておかないと、その後なにを実行してもとんちんかんなことになっちゃうので、シツコク書いてるのでございます。

なにはともあれ、春がやってきました。

 

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