2012年3月21日4:10 PM

先週、文庫本になった「真贋」をちょうど読み始めたところでした。

これまで吉本隆明の本を特に読んでいたわけではありません。読んだことがあるのは糸井重里を聞き手に氏が語る「悪人正機」くらいです(これもおもしろいです)。「共同幻想論」も読んでいません(こんど読もうと思ってます)。

たまたま新宿の紀伊国屋書店をぶらぶらしているときに、シンプルなタイトルと表紙にドンと書かれた文字のスタイルが気に入ったので買いました。

この本の中で氏は、あらゆるものに利と毒があると言っています。善悪とか功罪などと簡単には言い換えられない。毒と言い切ってしまうのがズバっとして気持ちよく感じます。

人間の行動の利と毒については、2000年代半ばに一時メディアを騒がせた元ベンチャー企業社長を例に語っています(そのころ出版された本なので、例がちょっと古いですが)。ビジネスの成功までは(賛否があったとしても)よかったけれど、衆議院選挙に出たのは完全に毒がまわっていたんだと。

そういえば、この会社の「美人広報」が有名になって、広報という仕事がいい意味でも悪い意味でも話題になりました。これも利と毒の一種。

氏いわく、「毒がまわっている人の特徴は、何でもやりすぎるということ」

これは自然人も法人も同じことだろうと思います。度を越したビジネスの拡大で、反感を買った企業の例は少なからずあります。

広報は、会社に毒がまわってないか客観的に判断しやすいポジションなので、そこのところ敏感にして、発信する中身づくりに生かしたいものです。猛毒がまわっちゃってたら、さっさと逃げ出しましょう(笑)。

そして、自分の仕事にも毒がまわっていないか、つねに健康診断が必要だな、分際を知ることだな、とあらためて思うのでした。

 

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