2012年2月14日3:14 PM

どこでもオフィスを始めて2ヶ月以上が過ぎた。自宅で仕事の準備をして、お客様との打ち合わせに出かけ、レンタルオフィスに立ち寄り、また別のミーティングに行く、のような生活にも慣れてきた。

事務所を持っていると、公私のけじめをつけやすいということもあったし、なにより隠れ家みたいで気に入っていた。しかし、あたらしい環境に慣れるスピードというのは、前の環境のときに想像していたものよりもはるかに速い。

ひとつ難儀があるとすれば、狭い自宅に仕事関係のものを(事務所に置いてあったアナログレコードも)収納しなければならないことである。事務所を引き払うときにだいぶ整理したのだけれど、いまでもいらないものをちょっとずつ処分してます。

長年ためこんだ荷物を整理すると、思いがけないものが出てくるものだ。昨年末には1996年のPR手帳が出てきてブログで紹介したが、こんどは今はなきサン・マイクロシステムズ社の日本法人に勤務していたときに、広報部で作成した社内向け「PR Handbook」が出てきた。

わたしがサンに在籍していたのは1990年代半ばから2000年代半ばまでで、ワークステーションからサーバーへのシフト、Javaからはじまるさまざまな新テクノロジーの開発、シンクライアントやユーティリティコンピューティングといった新しいIT活用の提唱など、大きなうねりの真っ只中であった。そして、米国企業の現地法人という位置づけではあったが、日本市場に深くコミットするような広報活動を目指していた。

ビジネスが大きく動いているときは、全社的な高揚感というか疾走感というか、独特のグルーヴが生み出されるものだ。広報はそのグルーヴを後押しし、ときにはリードしなければならない。

(今から思えば)そのための道具のひとつとして「PR Handbook」を作成した。全員分の冊子を用意して、一人ひとりのデスクの上に配った。

全14ページのハンドブックの序文には、こんなことが書いてある。

「良好な企業イメージの形成は広報部だけでできるものではありません。社員の皆さんの日頃の行為や発言が、そのまま社会に対して当社のイメージを創り上げていきます。いわば社員一人ひとりが広報マンであり、皆さんの協力が不可欠なのです」

なんといっても、ここに広報部のメッセージが集約されていた。

社長をはじめとするスポークスパーソンの発信力は当然必要だ。だけど、思い切っていってしまえば、社員一人ひとりで構成するリズム隊は、それよりもっと重要なのではあるまいか。

たとえばストーンズのグルーヴは、チャーリー・ワッツとビル・ワイマンなくして生まれなかったと強く思うのであります。

 

トラックバックURL

1件のコメント

  1. 目黒広報研究所 » Blog Archive » 取材対応の原則を再確認しておこう says:

    [...] 前の前のエントリーで、広報が会社の活動にグルーヴを生み出す、社員一人ひとりがグルーヴに必要なリズム隊、みたいなことを書いた。広報活動における社員参加のグルーヴについて [...]