2011年12月24日3:55 PM

これまで生活の中で引っ越しはつきものだった。親元にいるときは父親の仕事の関係上、親元を離れてからはその時々の事情によって住まいを変えた。あらためて数えてみると、これまでに20回引っ越していた。

「どちらのご出身ですか?」と聞かれると、生まれたのは大分だけど1歳までしかいなかったし、今の実家は高松だけど自分は住んだことないし、中高6年間は徳島だから徳島かな、でも徳島出身かというとそれは違うし、ぶつぶつ、となってしまう。学生のころは、タナカ家サーカス説までとびだした。

育った環境が引っ越し前提だったからか、おとなになってからも節目節目で環境を変えるのが自分にとっては普通のことになっている。そのたびごとに気持ちもリフレッシュして新しい生活を楽しみます。

ということとはそれほど関係ないけれど、創業6年目の今年、この12月から固定オフィス中心の仕事環境をやめて、自宅、レンタルオフィス、カフェなどを臨機応変・自由自在に仕事場にする働き方をはじめた。

旧知の新聞記者に話すと、「いまや女子高生たちのおしゃべりをBGMに記事を書いたほうが筆がすすむ(笑)」という。わたしはこれまで、外出途中にカフェのようなところに入ってコーヒーやお茶を飲む習慣がなく、よしんば入ったとしてもそこで本を読むことさえできないたちである。しかし、このあいだどうしても中途半端な時間ができてしまい、目黒のサンマルクカフェに入った。カフェではじめてPCを開いた。途中まで書いていた文章の続きを書くことにした。すぐに仕事に没頭できた。なんだ、案外どんなことろでも集中できるもんだ。

そのほかに、品川にあるレンタルオフィスの会員になって、お客様先での打ち合わせの合間や数時間の集中仕事が必要なときに利用している。15分単位で利用できて、とても便利だ。自宅、レンタルオフィス、カフェ、どこでもオフィスの生活にだいぶ慣れてきた。

ジャーナリストの佐々木俊尚氏は著書「仕事をするのにオフィスはいらない」(光文社新書)で、このような仕事スタイルを「ノマドワーキング」とよんでいる。ノマドとは遊牧民のことである。

そして、「個人としての矜持を持ち、そしてカフェや外出先などでテレワーク的な仕事をこなす独立独歩な人たち」、「能動的に行動し、何のために仕事をしているのかという価値観をしっかり持って、新たなワークスタイルを実践している人たち」をノマドワーカーと定義している。

この「独立独歩な」と「能動的に」がキーワードだと考えている。依存性が強かったり、受け身のスタイルが身についてしまったりしていると、この働き方はまず無理だろう。自由な環境であればあるほど自立と自律が必要だからである。これから20年の仕事や働き方を考える上でも大事な要素だと思っています。

かつて勤めていたサン・マイクロシステムズが早くから提唱していたユーティリティコンピューティングの世界がいま実現しつつある。電源にコンセントを入れれば電気が供給され、蛇口をひねれば水が供給されるように、ネットにつなげばさまざまなコンピューターリソースやサービスが高い信頼性のもとで利用できるようになった。だから、ノマドワーキングが可能になった。

1998年ころからサンの創業者であるスコット・マクニーリーは、Webトーンという言葉を使っていた。電話の受話器をあげるとダイアルトーンが聞こえて、すぐに電話が使えるように、ネットワークケーブルをさせばWebを通じてさまざまなコンピュータサービスが使える世界のたとえである。

さまざまな場所でネットにつないで仕事をはじめるとき、わたしにはWebトーンが聞こえてきます。

よいクリスマスを。

 

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