2011年4月25日1:11 PM

ときどき、企業活動において広報・PRは、経営機能なのか、マーケティング機能なのか、本当はどちらが期待されているのか、ということを考えさせられるときがある。

広報は、社会的責任を持つ企業が、世の中で事業を継続するために社会とのコミュニケーション活動によって信頼を維持していくための機能である。たとえば、現在の東京電力の置かれた状況をみれば、広報が経営機能の大事な要素であって、うまく社会とコミュニケーションがとれるかとれないかで、企業経営そのものを大きく左右するということに異論をはさむ人は少ないにちがいない。

一方で、現実問題として広報に販売促進の側面を求める企業が存在することも否定できない。特にIT業界では、ネットメディアを活用したセールスリードの獲得によって製品販売につなげる手法も定着しているし、外資系IT企業のほとんどは、組織的にもマーケティング本部とかマーケティング部といった部門に広報・PRが所属している。

わたし自身は、広報は経営機能の重要な要素であり、広告や宣伝とは両輪の関係であって、同列で考えると広報はうまくいかないとつねづね考えている(これまでのエントリーでも端々にそうゆうことを書いてきたつもりです)。しかし、広報がマーケティング機能も負わされそうになっている(あるいはすでにに負わされてしまった)というのが、多くの企業において現実である。

以前、広報・PRのシンポジウムで、新聞社の方が最近の企業の広報を評して、「短期の成果を求めるようになってきていると感じる。狩猟型の広報から、農耕型の広報になってほしい。長期的にいろいろなマスコミとの人間関係、信頼関係を築いてもらいたい。」と述べていたのが印象的だった。

経営機能を意識すれば「農耕型の広報」に、マーケティング機能を重視すれば「狩猟型の広報」になるだろう。

短期的に結果を求める狩猟型の広報を推し進めていくと、どうしても企業の都合で行動したり、都合のいいことばかり伝えて利益誘導に向かうことになりはしないか。

そこで、もしマーケティング機能も期待されている場合、広報としては農作業メイン、狩りはサブ、くらいの感覚で取り組んだらどうだろう。広報部あるいは個々の広報パーソンが企業経営の視点を持っていれば、販売促進のプログラムに携わったとしても、それを客観視できて、企業都合ばかり押し出さない説得力のあるコンテンツができるのではないか。

やっぱり、実がなって収穫するまで、辛抱強く、手間ひまを惜しんではいけないよなと思うのであります。

 

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