2011年4月19日12:11 PM

何かを買ったり、何かのサービスを受けたり、何かの質問をしたり・・・
そんな日常の中でよく耳にする言葉があります。

「少々お待ち下さい」
「少々お時間を頂戴します」

そうです。この「少々」が問題なんです。
果たして「少々」ってどのくらい?
「少々お待ち下さい」と言われたら、私は一体いつまで待てば良いのでしょうか。

喫茶店で、「すみません、注文をお願いします」「はい、少々お待ち下さい」なんていうやりとりであれば、この場面での「少々」は数十秒から長くても数分ですよね。

気に入った洋服のサイズが合わない。仕方が無いから一つ大きめのサイズを取り寄せ(私的にはしょっちゅうあるケースですが)、なんていうときの「取り寄せますので少々お時間をください」は、数日間くらいかなそれとも来週?と想像しますよね。数ヶ月も掛かるのであれば季節が変わってしまいますから。

これが例えばクラシックカーのレストアなんていう世界になると、「少々」というのは数ヶ月から年単位の感覚になったりします。

ことほど左様に、「少々」という時間の概念は時と場合と相手によって尺度が変わります。ということは、「少々」という言葉を使っている間は、お互いの尺度の違いで常にミスコミュニケーションが生じる可能性を孕んでいるとも言えるのです。

広報の仕事をしていてこの「少々」で気を付けないといけないのは、メディアからの問い合わせやリクエストに対するレスポンスかもしれません。取材依頼やプレスリリースの内容に関する質問を受けた際、その場で即答できないとつい「スケジュールを調整しますので少々お時間を下さい」「調べてからご連絡しますので少々お時間ください」などとしてしまう。

しかし一口にメディアと括っても、コンタクトしてくる方は、新聞記者、週刊誌の記者、締め切り直前で急いでいる編集の方、次の編集企画を考えているデスクなど、それこそ状況や立場は千差万別。「少々」の時間の尺度も全く違います。これを広報担当者が自分の尺度で「少々お時間を・・・」とすると、相手をイライラさせる原因となりかねません。最悪の場合は「あそこの広報は対応が悪い」なんて言われてしまうかも・・・。

しかし解決方法は至極簡単。
「少々お時間を下さい」と断った上で、何分とか何日くらいといった「尺度」をきちんと相手に伝えれば良いだけですから。取材依頼であれば、「対応者のスケジュール調整をしますので少々お時間を下さい。明日中にはご連絡します」とすれば良いのです。たった一言、具体的な尺度を伝えるだけで、随分と印象が変わります。ミスコミュニケーションも大幅に減りますよね。

当たり前と言えば至極当たり前の事。
でも、実際にはなかなかできない事が多い。

斯く言う私もこれで何度も失敗しています。
今日もまた、そんな自分への戒めを込めて書いてみました。

 

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