2011年2月28日12:15 PM

広報・マーケティングの仕事を数年やっていると、同じパターンで怒られるという現象が出てきます。以下は社員として担当していた時の出来事ですが、

たいていは、社員または販売代理店さんからの、少し感情的になった指摘で、

「競合他社の記事は出ているのに、うちの記事がでてないじゃないか!●●特集なのになんでうちの記事がないの???広報のアピール足りないんじゃないの!!」

というものです。

おかしいなあ、と思ってその媒体を見せてもらうと、その人は必ずと言っていいほど、

PR

と書かれたページを指し示しているのです。

ここまで書くとマーケ担当、広報担当の方はわかると思いますが、それは記事ではなく、記事の形式になっている広告だったのです。

ときどき、各種媒体で広告企画というものをやったりします。そして同じジャンルの商品の記事体広告(ペイドパブ:お金を払った記事形式の広告)をまとめて載せたりするのです。もちろん記事っぽくてもそれは広告ですから、お金を払わないと掲載されません。見分け方としては、PRと書いてあるか、企業の問合せ先がわかりやすく載っているか、記事がポジティブな内容に徹しているかなどがあります。ただ、最近はPRと書かないケースもありますから、見分けるのが難しくなっています。ネットの場合は掲載期限などが書かれている事もあります。

新聞とか週刊誌とか、テレビの美味しいものを紹介するグルメ番組でも、そういうのがありますよね。ちょっと不自然な有名人との対談なども広告です。通常の記事ページに似せてあるものの、やたらとわかりやすく問合せ先などが出ていたりして、慣れてくると「あ、これ記事じゃないような」とピンとくることも。

でも、この出来事から気づいたことがあります。

もしかしたら、読者は広告と記事とをあまり区別していないのではないか、ということです。

私は以前は、

読者は記事と広告を明確に区別して読んでいるので、いくら記事のように見せても広告だとわかってしまい、読者にあまり興味をもってもらえない。

と決め付けていました。

でも、そうではないようです。内容がしっかりしていれば、広告であっても「情報源」として利用している人も多い印象です。更には、ここ2-3年で記事体広告であっても、それとわからないものも出てきています(注:これは各媒体社によって違うので確実に「PR」とか「広告企画」と明示しているところもあります)

ちなみに、この記事体広告、以下のような場合には、広告予算が出せれば、非常に有効だと思います。

  • 新製品ではないがどうしても掲載したい商品をアピールしたい場合(ニュース記事として取り上げていただくには「新しさ」が必要)
  • 確実に掲載してほしい場合(記事は「確実に掲載」はありえません)
  • ニッチな商品で、読者層の一部しか関心をもちそうがないので記事化は難しいが、どうしてもその媒体の読者にアピールしたい場合
  • 競合他社が出ている、特定分野を特集した広告企画(他社がずらっと名を連ねているカタログ的な企画であれば、入っておく事で導入の選択肢にあがりやすくなることも)

また、読み手としては、記事であるか、広告であるか、という事だけでなく、メディアリテラシーを高めて、なんでも鵜呑みにするようなことは避けていきたいと思いました。以下、自分が心がけて読みたいと思っている点です。

  • どの媒体に出ている?(ゴシップネタ中心な某スポーツ新聞的な位置づけの媒体なのか、経済の動きを扱う某新聞なのか、専門紙なのかということです)
  • 誰が書いている?(署名記事の場合、いつもウケ狙いでおもしろいことを書くライターさんもいれば、ただ誉めるだけの方もいたりしますし、逆にネガティブな部分を掘り下げるスタイルの方もいます。また、事実関係を調べて深く客観的に書く方もいます。例えば、Publickeyは最後にあげた好例だと思います。)
  • どこが書き手の意見で、どこが客観的な事実?(ニュースの形を取りつつも、私見が書かれている場合もあり、それは「私見」であると理解しつつ読み進める必要があると思います)
 

トラックバックURL